これで「物忘れ」は怖くない

その物忘れは認知症かそれとも加齢か

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年齢とともに増える物忘れ。その原因は、海馬にある神経細胞が機能低下することにあった。自然な老化現象である物忘れに対して、必ず発症するわけではないのが認知症だ。

 両者を見分ける決め手は何か? くどうちあき脳神経外科クリニック(東京・大田区)の工藤千秋院長の考えはこうだ。

「周りの人からヒントをもらえば思い出せるのは、加齢による物忘れ。ヒントをもらっても思い出せないのが病的な物忘れ、つまり認知症です」

 たとえば朝食に何を食べたか忘れてしまった場合。「目玉焼きを食べたでしょ」と言われて「ああ、そうだった」と思い出すのは単なる物忘れ。

「え、目玉焼きなんか食べたっけ?」や「朝食なんて食べてないよ」などと言うのは認知症の可能性が大だ。

 厚労省によると、認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」。2012年の患者数は460万人(65歳以上の7人に1人)だったが、25年には700万人(65歳以上の5人に1人)を超えると推計されている。

 深刻な社会問題である認知症だが、「加齢による物忘れとの区別は難しい」と眞田クリニック(東京・大田区)の眞田祥一院長が言う。

「認知症は物忘れの一部と考えると分かりやすいでしょう。ただし、物忘れがなければ認知症じゃないとは言えません。記憶力の低下がなくても、思考力が低下したり、感情の抑制が利かなくなったりするのが認知症の症状です」

 もうひとつの目安は、「認知症による物忘れは一気に進行する」(工藤院長)こと。怪しい兆候があれば、専門の医療機関を受診すべきだ。

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