決算書でわかる有名病院のフトコロ事情

私立医科大学は大所帯 なぜ大勢の医師が働けるのか

東京慈恵医科大学(C)日刊ゲンダイ

■無給教員の多くは医学博士を目指す大学院生医師

 無給教員は医学部特有の制度です。国公私立を問わず、全国の全ての医学部で取り入れられています。医局のボス教授が配下の若手を関連病院に送り込み、実質的に支配していた時代には、手元の無給教員の人数がそのまま政治力に直結していました。また若手医師たちも、医局に属していない限り、いい病院に就職できないといわれていました。

 しかしそういうことは、すっかり廃れています。いまの時代は、むしろ好んで無給教員をやっている若手が多いと聞きます。大学は居心地がいいし、付属病院の収入だけでも十分に生活費を稼げるから、という理由でしょうか。

 臨床研修医は1年目が105人、2年目が95人。4つの付属病院の合計人数です。臨床研修医は法令によりアルバイトを禁止されていますが、大学からの収入は保証されています。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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