気鋭の医師 注目の医療

【オンライン診療】豊田剛一郎医師(株式会社メドレー)

オンライン診療アプリ「クリ二クス」(左は豊田剛一郎医師)/(C)日刊ゲンダイ

 実際、国内の禁煙外来では、4回以上通院を継続できた患者は対面診療では51%にとどまるが、遠隔診療を組み合わせると75%に増えたという診療結果が報告されている。

 そもそも豊田医師が転身したのは、臨床医で働くうちに国内の医療が抱える課題を知ったからだ。膨れ上がる医療費、超高齢化、医療現場スタッフのハードワークなど、このままでは医療崩壊を招きかねない。持続可能な新たな医療の仕組みが必要と危機感を持つ。その懸念を上司の医師に伝え相談したところ「医療を救う医師になったらどうか」と助言されたという。

 同社は、2年前に約600人の協力医師によって共同編さんされるオンライン医療事典「MEDLEY」をウェブ上で展開。この事業の立ち上げにも豊田医師は尽力してきた。

「厚労省のデータを見ると、高血圧の50代男性の半数は症状を放置しています。理由には『時間がない』『面倒』などがありますが、オンライン診療が定着すればもっと医師と患者さんのつながりが強くなり、受診しやすくなると思います。長期通院、予防医療がきちんと継続できるようにサポートできればと考えています」

 東京都出身。2009年東京大学医学部卒。聖隷浜松病院、NTT東日本関東病院での研修(脳神経外科)を経て、12年米ミシガンの病院に留学。13年マッキンゼー日本法人でヘルスケア業界などのコンサルティングに従事。15年からメドレーの代表取締役医師に就任。

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