独白 愉快な“病人”たち

「おはよう」言えず 青木美保は発声障害から復帰に10年

活動休止中は酒屋さんでアルバイトも経験(C)日刊ゲンダイ

 そんなとき、テレビで知ったのが、とある病院の「発声外来」でした。歌手の方がチラッと言ったその言葉を聞き漏らさず、すがる思いでその発声外来を受診して初めて病名が判明したのです。

 痙攣性発声障害は、声帯の周りにある筋肉に脳からの指令がうまく伝わらない病気です。私の場合は、「声を出そうとすると声帯が締まってしまう」という症状でした。 治療には、3カ月ごとに注射を打つ対症療法や、チタンを埋め込む手術などもあるそうですが、私の通った外来では、発声の訓練をすることで徐々に治す方法でした。交通事故などのショックで声が出なくなった人が行う治療と同じようなものだと聞きました。

 治る手術があるということは知りませんでした。でも、今思えば知らなくてよかったと思います。もし知っていたら、絶対に手術を選んでいましたから。やはり、長い目で見れば自己回復力で治るに越したことはないと今は思えるんです。でも、自己回復には、そこからさらに6年かかりました。さすがにお金も底をつきますよね。

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