皮膚を科学する

顔のシワやタルミは頭蓋骨の老化にも原因があった

頭蓋骨も年を取る(写真はイメージ)
頭蓋骨も年を取る(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 毎日化粧をする女性と違って、男は皮膚のことに関しては無頓着。しかし、皮膚は体の表面を覆う臓器なので、その見た目はそのまま臓器の老化を意味する。たとえば、年を取って出てくる顔のシワやタルミは頭蓋骨の萎縮が関係していることが、2011年に米国の権威ある美容医療雑誌に発表されている。「新東京クリニック/美容医療・レーザー治療センター」(千葉県)の瀧川恵美センター長が言う。

「顔のシワやタルミは、加齢による顔の筋力の衰えによっても起こりますが、原因はそれだけではありません。年を取ると骨粗しょう症によって背骨や脚などの骨が萎縮することはよく知られていますが、頭蓋骨にも起こるのです。頭蓋骨が縮むと皮膚が余ってしまい、それがシワやタルミの原因になるのです」

 骨格の変化は、「こめかみ」「目のくぼみ」「鼻」「頬骨」がへこみ、「あご」も小さくなる。顔のボリュームを保つ部分が全体的に減ってしまう。骨の萎縮は女性ホルモンが関係するので女性の方が早く、更年期が始まる40代以降から、男性の場合は60代以降から始まるとされる。

■眉間の縦ジワはメガネで改善することも

 これまでの美容医療ではシワやタルミに対してヒアルロン酸を部分的に直接注入する方法で治療が行われてきたが、最近では頭蓋骨の老化に沿って顔全体に注入する方法も行われるようになってきているという。

「顔の骨の老化を遅らせるケアは、体の骨と同じでカルシウム成分をよく取り、よく使うことです。それに首の筋肉は、他の場所と違って皮膚に付いています。ですから、『よくしゃべる』『よくかむ』『よく笑う』ことは顔のシワやタルミの予防につながります」

 ただし、加齢とは関係なく「表情筋によって起こるシワ」もある。表情筋とは、顔の目や口、鼻などを動かす筋肉で30種類以上あり、相互に作用して多彩な表情をつくり出している。個々の人の表情筋の使い方(クセ)がシワの原因になる場合がある。代表的なのは、よく笑う人の目尻や頬にできる“笑いジワ”だ。

「他には、目の悪い人や怒りっぽい人には眉間に縦ジワや横ジワができやすくなります。また、眼瞼(がんけん)下垂(まぶたが開きづらくなる病気)の人には額に横ジワができます。目の悪い人はメガネをかけるなど、原因を取り除けば改善することもありますが、治療する場合にはボトックス注射(表情筋の動きを抑制する)を使います」

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