Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

村野武範さんが告白 咽頭がんの治療は手術より放射線で

村野武範さん(C)日刊ゲンダイ

 このがんは、飲酒と喫煙の影響が強いと書きましたが、喫煙は治療効果を左右することも分かっています。放射線治療中に喫煙している人は、していない人に比べて、治癒率が低いのです。もし喫煙している人が咽頭がんになったら、せめて放射線治療を受ける前までに禁煙することが一番です。

 咽頭がんの中でも、中咽頭がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されています。女性の子宮頚がんを引き起こすウイルスです。オーラルセックスなどで、HPVが喉に感染すると、咽頭がんの発症リスクが高まり、咽頭がん全体の20%はこのタイプとみられます。しかし、HPVによるタイプは治りやすいのが特徴。声がかすれたり、飲み下しに違和感があったりしたら、すぐ耳鼻科を受診するのが肝心です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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