この死亡率 なぜあの県に多い?

【老衰】「お茶がいい」は決定打にならず 静岡県1位の理由

まだまだ活躍できる
まだまだ活躍できる(C)日刊ゲンダイ

「きんは100歳、ぎんも100歳」のCMが話題になったのは1992年のこと。あれから四半世紀、100歳以上の高齢者は全国で6万7000人を超える。

 未曽有の長寿社会で増えているのが老衰死だ。2016年に老衰で亡くなった人は全国で8万4810人。前年から9421人も増えた。

 ただし、どこで暮らしていても、穏やかな最期を迎えられるわけではない。老衰の死亡率を見ると、男女とも静岡県が1位となっている。

 永田宏氏(長浜バイオ大教授)は、「静岡を含む東海地方は昔から、がんや心臓病で亡くなる人が少ない。それが、老衰の死亡率の高さに表れた格好ですね」と言う。

老衰死亡率の表
老衰死亡率の表(C)日刊ゲンダイ
最後は医者の癖?

 確かに、がんによる死亡率を見ると静岡は男性が39位で、女性は38位、心疾患は男女とも29位だ。いずれも平均を下回っている。

「お茶やみかん、魚中心の食生活がプラスに働いているといわれ、その手の論文も多いのですが、どれも“そうかもしれないね”というレベル。決定打となるエビデンスはありません。もっとも、温暖でのんびりした気候、生活に不便を感じない程度の田舎であることは、心身を健康に保つ要素であるのは確かでしょうね」(永田氏)

 静岡式の食事や暮らしだけが幸せな老衰死を招くと言い切れないのは、“医者の癖”も影響している可能性があるからだという。

「死因を老衰とするのは、ほかに死につながるような病気がないときですが、医者によってはその場合に肺炎と診断したりします。静岡は肺炎の死亡率が男性42位、女性40位と低い。もしかすると他県では肺炎としているケースでも、老衰としている医者が多いのかもしれませんね」(永田氏)

 まあ、それでも、がんや心臓病といった長期の苦痛を伴う病気で亡くなる人が少ないことに変わりはない。

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