気鋭の医師 注目の医療

薬に頼らずおいしく楽しく 嗜好品を保健指導に取り入れる

「薬と同程度の効果は望めません。たとえば弱い降圧薬を使うと収縮期血圧が10弱下がりますが、嗜好品による効果は平均3~5下がるという感じです。効果があまり出なければ途中で嗜好品を変えたり、必要なら薬を併用することもあります」

 椎名医師が2年前から嗜好品の指導を始めたのは、あまりにも情報が氾濫しているからだ。テレビ番組などで「○○を食べると体にいい」と知ると、そればかり食べる外来患者が多いという。サプリメントも高額だったり、まずいものを無理して食べている人も少なくない。医師から正しい情報発信をした方がいいと考えた。

「すでに薬を飲んでいる患者さんでも、2剤を1剤に減らせるケースがあります。どういう人に効果が高いのかは、今後の研究テーマです」

 非常勤の戸田中央総合病院(埼玉県)では週2日、専門に「嗜好品外来」を担当。ちなみに、これらの診療は保険診療の範囲内で行われている。

▽千葉県出身。1996年東京医科大学医学部卒後、同大病院循環器内科入局。戸田中央総合病院勤務(現在は非常勤)を経て現職。〈所属学会〉日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医、日本睡眠学会認定医など。

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