正しい運動で健康寿命を延ばす

運動にはクスリかそれ以上の効果が認められている

中野ジェームズ修一さん
中野ジェームズ修一さん(C)日刊ゲンダイ

「三日坊主は当たり前」 健康のために運動を始めたいという中高年に向けて、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏はそう話す。「サボっても、また始めればいい」。そんな気持ちでやることが運動を継続させるコツだという。最初は毎日でなくても、週に2~3回程度から始めれば継続しやすくなり、健康維持が期待できるのだ。

 これまで運動習慣がない人がいきなりハードな運動をするとケガをする危険があるし、続かない。まずは初歩的な運動と、それぞれに必要なストレッチに取り組みたい。その前になぜ運動が大切なのかを知っておこう。

「医師が運動を勧める理由は、運動をすることで不調を改善できたり、疾患の進行を遅らせたり、場合によっては治癒することもあるからです。疾患の種類や症状にもよりますが、運動には薬と同じかそれ以上の効果が認められているといえます」

 普段から運動をしていない人の筋肉量は、20歳前後をピークに年間約1%ずつ減少していくという。今は健康に問題がなくても、中高年は意識して運動を生活に取り入れないと、次第に日常生活もままならなくなっていく危険もあるのだ。

■「ややきついな」が負荷の目安

 しかし、いざ運動といっても、何をすればいいのか分からないという人は多いだろう。これは個人の悩みや希望によって変わってくる。たとえば「膝が痛い」なら、一般的には膝の周りの筋肉量の低下が問題なので筋トレが必要になる。「肥満を解消したい」なら、脂肪を燃やす有酸素運動が有効なのでウオーキングやジョギングが効果的。つまり、ポッコリお腹を引っ込めたい人が腹筋をしてもあまり効果がないということ。「運動をやってみたけど無駄だった」という人は、自分の悩みに合っていない運動をしていたのかもしれない。

 中野氏は「運動は、正しいやり方で必要な頻度と回数を行えば、必ず効果が出る」という。ただし、「弱い運動で効果を出すには長時間かかり、強い運動なら短時間で済む」という原則がある。

 たとえば、ウオーキング60分の消費カロリーはランニングならたった10分相当だ。どちらを選ぶかは個人の状況や好みになるが、強化したい筋肉や部位をしっかり意識しながら自分に合った負荷をかけないと、挫折や失敗の原因になる。「ややきついな」と感じるくらいの負荷が目安だ。

「そして、必ず必要なのが運動後のストレッチです。これをしないと疲労回復が遅くなる場合があります」

 次回から目的に応じたトレーニングとストレッチを中野氏に解説してもらう。

中野 ジェームズ修一

中野 ジェームズ修一

1971年、長野県生まれ。多くのアスリートから支持を受けているPTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。株式会社スポーツモチベーション最高技術責任者。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。多くのオリンピック選手や青山学院大学駅伝チームの箱根駅伝連覇を支えるなど、アスリートから絶大な信頼を寄せられている。「100トレ 医師とトレーナーが考えた100年時代の新健康体操」(徳間書店)が発売中。

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