軽症時から突然死 新たな「糖尿病合併症」はこんなに怖い

男性の16%が糖尿病の疑い(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病治療は、血糖値を正常範囲に下げ、維持するのが基本。ところが心血管疾患の予防も見据えた治療では、「血糖値を下げれば良い」という考えは当てはまらない。下がりすぎて起こる低血糖は、これまで認識されていた以上に弊害があると分かったのだ。

「低血糖と心血管疾患の関連性を調査した後ろ向き観察研究(過去のデータを収集したもの)では、1年間で3・1%の患者に低血糖が見られ、低血糖のあった患者は、そうでない患者より心血管疾患のリスクが79%高かったのです」(槇野医長)

 さらに、自己血糖測定の合間の血糖の変動を調べられるようになったことで、血糖が上昇・下降を繰り返す「数値の大きなばらつき」が動脈硬化を進行させ、心血管疾患のリスク増大につながることも分かった。

 つまり、心血管疾患を意識した糖尿病治療では、糖尿病治療薬の選択と生活習慣の改善・定期的な受診によって、「低血糖を避ける」「血糖の大きなばらつきをなくす」ことが欠かせない。

「糖尿病治療は個人によって変わります。血糖、体重、血圧など自分が目指すべき目標値を主治医に聞いてください。患者さん自身が心血管疾患のリスクを持っていることを自覚することも重要なのです」(槇野医長)

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