がんと向き合い生きていく

5年目で悪性リンパ腫再発を繰り返しても20年で完治させた患者がいる

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 抗がん剤は3~4週に1回のペースで8回繰り返しましたが、3回目の投与終了時にはリンパ節の腫大は消えました。この頃、同時に奥さんは体外受精が成功し、10カ月後には、かわいい女児が誕生しました。

 Rさんの治療も完遂し、5年後には完治と判断されました。外来で来院される時、Rさんはいつも娘さんの写真を見せてくれました。

■高齢でも治療は可能

 会社員のIさん(36歳・男性)は、顎の下、腋窩部にリンパ節腫大を認め、耳鼻科医院で生検されて「悪性リンパ腫びまん性大細胞B細胞型」との診断で来院されました。特に症状はなく、ステージⅡで早速、CHOP療法(3種類の抗がん剤に副腎皮質ホルモンを組み合わせた治療)が開始されました。

 3回目でリンパ腫は消失し、8回で治療終了。5年経過し、最後のCT検査で良好ならば完治というところでした。しかし、頚部に再発が見つかり、また治療をやり直すことになりました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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