クスリと正しく付き合う

生活習慣を改善できなければコレステロール降下薬の中止はマイナス

運動習慣が効果的(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 次に、運動習慣や食事の改善が効果的です。患者さんにとってはなかなか難しいのが現実でしょうが、本気で脂質異常治療薬の減薬・中止を考えるのであれば、取り組むしかありません。運動と食事については目標設定が重要です。定期的に腹囲を測定して、男性なら85センチ以下、女性なら90センチ以下を目標にするのがいいでしょう。メタボ体形は動脈硬化のリスク因子のひとつですから、改善すれば減薬・中止に向けてさらに前進できます。また、目標を徐々にクリアすることで、モチベーションの維持につながります。

 コレステロール値を見るには血液検査が必要なので、次の受診まで3カ月~半年、長い場合は1年の期間がある場合がほとんどでしょう。適切に薬を減量・中止するには、その間に禁煙や生活習慣の改善を継続し、その上で担当医に生活改善に取り組んでいることと、薬をやめたい(変更したい)旨を伝えてください。自己判断でやめてはいけません(家族性高コレステロール血症という遺伝性の脂質異常の場合は治療が変わってきますので病院で精査が必要です)。

 脂質異常症は自覚症状もなく、治療効果が分かりづらいです。しかし、明らかに心血管疾患による死亡リスクを上げることが分かっていますので予防的治療が大切です。前向きな薬の減量・中止を行うには、生活習慣を改善しましょう。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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