正しい運動で健康寿命を延ばす

【ロコモ対策】下半身を強化して転倒を予防する

写真は「定年後が180度変わる 大人の運動」から
写真は「定年後が180度変わる 大人の運動」から(提供写真)

 筋肉や関節などの運動器が衰え、要介護のリスクが高まる状態をロコモティブシンドロームと呼ぶ。まずは生活に取り入れやすい2つの運動で対策したい。

「ロコモ対策に必要なのは『下半身強化』です。転倒予防はもちろん、お尻や太ももの大きな筋肉を鍛えることで基礎代謝が増え、痩せやすい体にもなります」

■オープンスタンスキッチンスクワット

(1)スタートポジションは、キッチンの作業台やテーブルなどに両手を置いて、両足を大股1歩分、左右に開き、イスに座るように膝を曲げて腰をしずめた状態(写真①)。つま先は外側に向け、胸を張って背筋を伸ばすのが大事。

(2)①の体勢から、4秒かけてゆっくり膝を伸ばして立ち、また4秒かけて戻ってカウント1回。背筋を伸ばした姿勢を維持することがポイント。20回で1セット、1日2セットが基本だが、増減は自由。1往復8秒×20回=160秒だから、1日2セットなら5分程度で済む。これが物足りなくなったら次の運動に移ろう。

■スモウスクワットウィズウエート

(1)スタートポジションはほぼ同じ。違うのは両手で1・5~2リットル大の中身の入ったペットボトルの上部を握って行う点だ(写真②)。

(2)①の体勢から4秒かけて膝を伸ばし、4秒かけて戻してカウント1回。20回で1セット、1日2セットが基本になる。

■下半身強化運動後のストレッチ

 上記の運動後に必ず行う。3種類とも左右30秒ずつ姿勢をキープする。

(1)大腿四頭筋:片手を壁につき、もう片方の手で手と同じ側の足の甲を持って、かかとをお尻に引き寄せる。太ももの前側が伸びているのを感じながら姿勢をキープ。

(2)ハムストリングス:直立の姿勢から片足を前に出し、両手を太ももに乗せ、背筋を伸ばしたまま手前の膝を軽く曲げ、上半身前傾の姿勢をキープ。1歩出したほうの太ももの裏を伸ばす感覚が大事。

(3)大殿筋:壁にお尻を付け、イスに座るように膝を曲げて片方の足首を反対の脚の太ももに乗せ、上半身を前屈させる。持ち上げた足側のお尻の筋肉を伸ばす感覚で姿勢をキープ。

中野 ジェームズ修一

中野 ジェームズ修一

1971年、長野県生まれ。多くのアスリートから支持を受けているPTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。株式会社スポーツモチベーション最高技術責任者。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。多くのオリンピック選手や青山学院大学駅伝チームの箱根駅伝連覇を支えるなど、アスリートから絶大な信頼を寄せられている。「100トレ 医師とトレーナーが考えた100年時代の新健康体操」(徳間書店)が発売中。

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