これにより生体の恒常性(ホメオスタシス)が維持されるが、その均衡が壊れるとインターロイキンや腫瘍壊死因子(TNF)などに代表されるサイトカインが誘導され、慢性炎症が起きると言われている。今回使われた抗インターロイキンはそれを抑える働きを持つ。
それにしてもなぜ、肺がんに効くのか?
「肺がんはアスベスト、喫煙、あるいは他の吸入毒によって起きる持続的な炎症が原因であると考えられてきました。実際、動物実験などではインターロイキン―1βが、がんの進展に関与していることは示されていましたが、このインターロイキン―1βを阻害する薬が人においてがんを抑制したというデータが今回初めて得られたのです」
もちろん、この先何度も検証され、研究されるべき話だが、人類は重大病克服の糸口をまたひとつ得たのかもしれない。