これで「物忘れ」は怖くない

物忘れが急に増えたら危険 ぜひ脳の検査を受けてほしい

早期発見し治療することが大事
早期発見し治療することが大事(C)日刊ゲンダイ

 年齢とともに増える物忘れ。その背後には、命に関わる深刻な病気が隠れている場合がある。そんな危険な物忘れを見極めるポイントは? 物忘れ外来を開設する「くどうちあき脳神経外科クリニック」の工藤千秋院長に聞いた。

「急に物忘れが増えて認知症かと思ったら、脳の病気が見つかることがあります。物忘れ以外に変わった症状がないか、チェックすることが大切です」

 脳血管障害(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)が原因で認知症になるケースは、認知症全体の2割程度を占める。脳の血管が詰まったり脳内で出血が起こったりすると、神経細胞の一部に酸素が送られなくなる。それが認知機能の低下を招くのだ。

 障害が起きた箇所によって症状は異なるが、手足のしびれや失禁、ろれつが回らないなど。物忘れとともにこういった症状があれば、脳血管障害を疑った方がいい。

「歩き方がガニ股になったら、正常圧水頭症が考えられます。半年から1年の間に急に物忘れが増えるのが特徴です」

 正常圧水頭症は、脳の中心部に髄液がたまる病気。手術で髄液を抜けば、物忘れも治ることが多い。

 外傷が原因の物忘れもある。頭を強打した時に毛細血管が切れ、脳内に血の塊が出来る「慢性硬膜下血腫」だ。頭を打ったその時は何ともなくても、2~3カ月後に物忘れの症状が出てくる。

「物忘れ外来では、毎年4月から5月に新患が増えます。冬、雪で転んで頭を打った人が、物忘れが増えたと言って駆け込んで来るからです」

 この種の物忘れも、手術で改善が見込める。いずれも早期発見し治療することが重要だ。急に物忘れが増えたら、ぜひ検査を受けてほしい。

関連記事