がんと向き合い生きていく

種類がさまざまな「小児がん」大学病院だからといって診療できるとは限らない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 小児とは一般的に15歳までの児童をいいますが、たとえば3歳と14歳では理解力などがまったく違いますので、本人への病気の伝え方、説明などは異なってきます。長期の入院が必要になることも多く、治療には親と担当医、看護師らの連携がとても大切です。

 検査は、採血、エコー、CT、MRI、骨髄検査(白血病などの時に腰の骨に針を刺して骨髄液を吸引採取する)、脳脊髄液検査などが行われます。状況によっては全身麻酔で検査を行うこともあります。診断治療のためには必要なことですが、なかなか大変で、検査の様子を見ているお母さんに泣かれることもしばしばです。

 白血病では、治療により白血球の少ない時期に一定期間無菌室に入ることもあります。本人にも病気を治したいという強い気持ちが必要になってきます。また、入院中は勉強面のケアも実施され、院内学級や、教師が派遣される訪問教育などが行われます。本人、ご家族、医療者みんなで一緒に治癒に向かって頑張るのです。しかし、治療効果が得られなかった場合、再発などで治癒が難しくなった場合、死が近づいた時、個々の患者さんの心がどんな状態か、どう支えていくか、親兄弟、医療者たちは悩みます。共通した正解はなかなか見いだせないことも多くあるのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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