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米で注目のDNAチェック “無料アップグレード”のカラクリ

 アメリカのテレビCMで最近よく目にするのが、メールオーダーで手軽に自分のDNAをチェックできるテスト。口の中をこすった綿棒を送るだけで、自分の先祖がどこからやって来たのかが分かるというもので人気急上昇中。似たようなサービスが次々に参入しています。

 アメリカ人は、過去数百年の間にヨーロッパやアフリカなどさまざまな場所から移住し、混血してきた歴史を持っています。自分の先祖がどんな民族で、どこからやって来たのかへの興味は、日本人の想像を超えるものがあります。そこにハマったのが、この簡易DNAチェックキット。最も人気のあるアンセストリー・ドットコム(Ancestry.com)は約1万円で、どんな国や民族の血を引いているかを教えてくれます。中には自分の先祖が思っていたような民族ではなくがっかりするケースもあるようですが、「これまで知らなかった自分に出会える」「新たなアイデンティティーを得られる」「人生が豊かになった」などおおむね前向きな反応。膨大なデータベースにより、知らなかったきょうだいや親戚と出会えるケースもあるといいます。

 一方、アンセストリー・ドットコムをしのぐと最近大きな話題になっているのが、トウェンティ・スリー&ミー(23&Me)です。先祖を調べるベーシック機能に約1万円をプラスするとアップグレードされ、遺伝による病気のリスクも調べてくれます。

 ところがこれ、1万円を支払わなくてアップグレード可能。もちろんそれには理由があり、「無料の代わりに、会社はあなたの生物医学的データを好きなように利用できます」となっているのです。これを知らずに自分のデータを提供してしまった人もいたとか。新薬の開発などに利用できる膨大なデータ収集システムとしても、熱い視線を浴びています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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