応急処置として強い痛み止めを打たれ、激しい痛みが嘘のように消えました。そのときまず思ったのは“明日から京都で撮影だ”ということ。でも、先生に「すぐに京都に行かなきゃいけないんですけど」と伝えると、「死にますよ」と言われ、まったく相手にされませんでした。1カ月の入院が宣告され、俳優になって初めて“降板”をすることに……。大勢のスタッフ、キャストに、本当に迷惑をおかけしました。
■「食べられない人にとっては残酷」
そんな大ごとなのに、治療は手術などではなく膵液を出さないための絶飲食と輸液しかないらしいんです。3日間は飲まず食わずでした。その後は徐々に、おもゆやお粥になっていくのですが、つらかったのはテレビでした。夕方の情報番組を見ていると、ニュースの後は必ずグルメ。どの局もだいたいそうです。あれは、食べられない人にとっては残酷ですよ。リポーターの「オイシイ!」という言葉がどれほどつらいか……。
独白 愉快な“病人”たち