Aβ減らすアーモンドやナッツで認知症は本当に防げるのか

アーモンド、ナッツ、脳内PET検査などが紹介されているが…(C)共同通信社

■Aβはむしろ脳卒中に関連か

 現在、Aβ仮説に基づく創薬研究で最大の注目は、米バイオジェン社の「アデュカヌマブ」という抗体。その投与により、認知機能の改善が認められたと「ネイチャー」誌が取り上げた。現在、国際共同試験(フェーズⅢ)が始まっているが、ベルベセスタットのように少人数ではよくとも、大規模臨床試験では結果が出ない可能性もある。

 逆にタウの蓄積と神経細胞死、さらには病状とその進行は、複数の研究によって強い相関関係が明らかにされつつある。

「遺伝子改変技術で脳にAβが沈着するマウスをつくっても神経細胞死は観察されなかったり、脳内PET検査でAβの沈着が確認されている正常人も多数存在します。逆にAβが蓄積せずに、タウだけが異常になって蓄積してくる認知症がある。若年性認知症の一種であるピック病がそれで、性格変化や抑制が利かない行動をする症状が表れたりします。転びやすくなったり、運動機能の障害が先に出る前頭側頭型認知症もあるのです」

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