Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

南果歩さんが切り替え 乳がん代替療法は死亡リスク5.7倍

南果歩は乳がんの薬物治療を副作用で中断(C)日刊ゲンダイ

 そんな多額のコストをかけても、冒頭の論文の通り代替療法はハイリスクです。「サプリくらいなら」と思うかもしれませんが、ビタミンEやβカロテンはがん化を促進する恐れがあり、ビタミンCは放射線や抗がん剤の治療を阻害するリスクが知られています。

 百害あって一利なしの代替療法ですが、利用者は高学歴の人が多いのが特徴。ほかの特徴は、60歳以下の女性、抗がん剤治療を受けたことがある人、現在ホスピスや緩和ケアに入院している人など。いずれも世界的な傾向です。周りに勧められても、手を出さない方が無難でしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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