独白 愉快な“病人”たち

えのきどいちろうさん 続発性の脳腫瘍と「一生付き合っていく」

麻酔から覚めて家族の顔が見えたとき「生きてるんだ」と思った/(C)日刊ゲンダイ

 夏の終わりに近所の眼科で検査をしたところ「目自体の問題じゃないですね」と言われ、慈恵医大病院の眼科を紹介されました。後日に受診すると、MRI検査があり、その画像を見ながらその眼科医に「ここの白いのが脳腫瘍です」とサラッと言われたのです。

 確かに、目の裏のあたりにピンポン球ぐらいの白い影がありました。「早期なんですか? 死ぬんでしょうか?」と尋ねるボクに、先生は「それは脳外科の担当なので、午後、脳外科に行って聞いてください」とだけ言って診察が終了しました。

「えーっ?」となって、だいぶ動揺しました。午後の診療時間までの間、石段にひとり座り込み、「脳腫瘍」という現実の重さにすっかり打ちのめされてしまいました。

 結局、脳外科で脳腫瘍にもいろいろあり、ボクの場合はその中の「脳下垂体腫瘍」で、しかも「良性」だと知らされました。良性であってもできた場所によっては手術が難しいこともあるそうですが、ボクの場合は場所もよくて、取りやすいところだったみたいです。「お仕事の都合のいいときに入院してください」という具合で、緊迫感は一切ありませんでした。

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