末期がんからの生還者たち

上咽頭がん<2>手術は痛そうだから抗がん剤を選択

死についても考えた(C)日刊ゲンダイ

 同時に点滴による抗がん剤も挿入された。

「放射線療法中に着用した下着は、他の洗濯物と別々にして洗ってくださいと言われました。そのため妻が着替えを持って病院に、3日置きに通ったでしょうか」

 これほど長期間の入院は、高橋さんにとって初めての人生経験である。しかも、「上咽頭がん・末期」と診断されても、体のどこにも痛みはなく、歩行も通常である。

 1日約30分の放射線治療が終わると、一日中ベッドで時間を潰す。

「死について考えたこともありました」と言う。

 1カ月間に及ぶ化学療法の治療を終えて、MRIなど精密検査があった。担当医から、「がんが縮小していますよ」との朗報を受け、高橋さんは妻の手を取って喜び合う。

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