高校生のM君(17歳・男性)は、サッカーが好きな少年でした。試合中に左下腿に痛みを感じ、最初は打撲だろうと思っていました。それが2週間経っても良くならず、骨にヒビが入っているのではないかと思って自宅近くの整形外科を受診したところ、Aがん拠点病院を紹介されました。
X線などの検査の結果、「骨肉腫」の診断でした。病名は両親だけに伝えられ、M君は「手術で良くなる」と告げられたようでした。しかし、その時にはすでに両肺に小さな転移があったのです。
M君は手術が必要だと伝えられていましたが、左大腿から切断されるとは知らされていませんでした。病名が本人に隠されたのは、両親の希望でもあり、また当時としては仕方がないことでしょう。しかし、麻酔から覚めて下肢がなくなっていることを本人が知った時は、どんな気持ちであっただろうか、どんなにつらかったであろうかと思います。
がんと向き合い生きていく