年齢とともに増える物忘れ。その原因は、海馬にある神経細胞の機能低下にあった。最近は「物忘れが改善する」とうたう市販薬もあるが、はたして効果のほどは?「くどうちあき脳神経外科クリニック」の工藤千秋院長に聞いた。
「市販の物忘れ改善薬の主成分は、オンジエキスです。オンジは加味温胆湯という漢方薬に含まれる生薬で、昔から物忘れに効くといわれています」
2015年、厚労省が一般用医薬品の生薬使用に関するガイドラインを定め、オンジエキスを含む物忘れ改善薬を市販できるようになった。この改善薬はあくまで物忘れの生薬製剤であり、認知症の西洋薬とは別物だ。厚労省は、認知症患者が適切な治療を受ける妨げにならないよう、注意喚起することを製薬各社に求めている。
「市販薬にオンジエキスがどの程度入っているか分かりませんが、もともと漢方薬の成分なので、医師や漢方医に処方してもらうのが確実かもしれません」(工藤院長)
一方、「眞田クリニック」の眞田祥一院長は、市販薬について「まだ効果は分からない」としながら、こう語る。
「認知症の人には、ビタミンEやEPAなど、血流を良くする成分の入った薬を処方します。こういう成分なら、物忘れにも効果が期待できます」
脳の血流を良くすれば神経細胞が活性化するというわけだ。では、物忘れに効く成分をサプリメントで取ればいいのだろうか?
「DHAやEPA、クルクミン(ウコン)、イチョウ葉エキスなど、脳に良い成分をサプリで取るのはお勧めです。ただし、濃度が薄ければ意味がありません」(工藤院長)
サプリは高濃度のものを選ぶべし。
これで「物忘れ」は怖くない