末期がんからの生還者たち

村野武範さん<2>治療を受けられると言われ涙が出るほど嬉しかった

村野武範さん(C)日刊ゲンダイ

 俳優の村野武範さん(72)が首のしこりに気づき、近所の病院に行ったのが2015年5月10日。

「ステージ4の中咽頭がん」と診断され、2~3日後に入院する予定だった病院に紹介状を書いてもらい、東北へ向かったのが6月1日だった。まずは、そこで陽子線治療ができるかどうかの判断を仰がなければならなかった。

「陽子線はがんのできた部位や大きさ、進行度合いなどによって向き不向きがあるんですって。私は首だけでしたが、転移があったので不安でした。検査後に『うちでできます』と言われた時は、涙が出るほどうれしかった。女房も『来てよかったわね』と安堵の表情を浮かべていました」

 その場で入院の手続きを行った。いったん東京に戻って、実際に入院したのは6月5日だった。治療は、抗がん剤から始まったという。

「普通の抗がん剤は、静脈注射で全身に薬が回るんですって。だから健康な臓器も傷めちゃう。でもそこの抗がん剤は、動脈注射でした。左耳の上の辺りからカテーテルで高濃度の抗がん剤を入れるんです。がん細胞にピンポイントに届くから、ほかの臓器を傷めないそうです」

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