末期がんからの生還者たち

村野武範さん<2>治療を受けられると言われ涙が出るほど嬉しかった

村野武範さん(C)日刊ゲンダイ

 週1回の抗がん剤投与が計9回行われた中、放射線も同時進行で1回数分~15分程度、平日に行われた。

「最初の5回は通常の放射線。その次はIMRTを15回、そして陽子線が17回と、合計37回の放射線治療を受けました」

■先進医療特約で自己負担ゼロ

 IMRTとは強度変調放射線治療と呼ばれ、腫瘍にピンポイントで放射線を当てられる照射技術によって照射量を従来より多くできる。そして陽子線治療は、水素の原子核である陽子を光速近くまで加速してがん細胞に当てる。従来の放射線は体表面に強く当たり、深くなるほど弱まるのに対し、陽子線は深いところにエネルギーのピークをつくれるため、正常な組織へのダメージを減らしながら深い部分に強く照射できるのが特徴だ。

「費用は280万円ぐらいかかりました。先進医療は保険が利きませんから。でも、たまたま医療保険に先進医療の特約を付けていたんです。それも、70歳になる前に保険屋さんに言われるがままに。追加した掛け金は月々500円ぐらいのものです。そのおかげで自己負担はゼロ。本当ですよ(笑い)」

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