がんと向き合い生きていく

抗がん剤治療は外来での実施が増えている

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 会社員のYさん(38歳・男性)は、某がん拠点病院で「大腸がん」(S字状結腸がん)の手術を受けました。この時、すでに両肺に小さな転移を認めていたため、医師から「手術後に点滴による抗がん剤治療が必要」と告げられました。

 そして、手術の全身麻酔中に抗がん剤治療を目的とした「皮下埋め込み型ポート」を付ける処置も行われました。ポートとは、小さな円盤状の本体と太い静脈につなげた細い管(カテーテル)から構成される機器で、前胸部の皮下に埋め込み、体外から薬剤を投与するために使用します。

 Yさんは順調に回復し、手術から2週間後にはポートから抗がん剤の投与を開始。2種類の抗がん剤のほか、「5―FU」という薬剤を携帯用インフューザーポンプで46時間持続注入する治療も行われました。ムカムカする副作用が2日間ほどありましたが、抗がん剤治療終了後、無事に退院となりました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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