末期がんからの生還者たち

村野武範さん<3>“本当に小さくなってる”治療3週間目に実感

1カ所だけ残っていた頚部のしこりも退院後になくなった
1カ所だけ残っていた頚部のしこりも退院後になくなった(C)日刊ゲンダイ

「ステージ4の中咽頭がん」と診断された俳優の村野武範さん(72)は、抗がん剤と放射線治療(陽子線治療)のみで手術は受けていない。陽子線治療だけで手術の必要はなかったからだという。

 約2カ月の治療中、効果は徐々に見えてきた。

「正確な日付は覚えていませんが、効果を実感したのは2~3週間目ぐらいからですかね。一番わかりやすく目に見えて変わったのは、舌根にあったがんの黒ずみが小さくなっていたことです。口を開けても見えない奥の奥でしたが、結構大きかったんです。毎日のように先生がフィルム画像を見ながら『小さくなってますよ』と教えてくれていましたが、初めのうちは少しずつ過ぎてよくわからない。3週間目ぐらいに治療前の画像と見比べて、やっと“ああ、ほんとに小さくなってる”と実感しました」

■「しこりよ、ありがとう」

 喉に点在していたがんもその辺りからどんどん小さくなり、最終的にはすべてきれいになくなった。

「女房には電話で『今日はこうでああで、小さくなってるって』という話はしていました。でも、『そう、良かったわね』というくらいでそんなに大きなリアクションはありませんでしたよ(笑い)」

 ただ、退院する際になっても、1カ所だけ頚部のあずき大のしこりが最後まで残っていた。

「これはなくならないものなのかと思っていたら、先生が『これはあまり気にしなくて大丈夫。そのうちなくなりますから』と言われましてね。本当に退院後2カ月ぐらいできれいになくなりました。最初にがんに気づかせてくれて、治療の最後まで見届けてくれたような存在ですね。あのしこりがなかったら、がんの存在がわからなかったわけですから、『しこりよ、ありがとう』です」

 振り返れば、一番うれしかったのは退院の日より「治療できる」と言ってもらえたときだったと話す。

「末期がんから生還した例がいくつもある病院だったので、女房も私も『治療できる』≒『治る』という思いでした。そして実際に治りました。再発はもちろん気になりますが、再発に向けての新しい研究も進められている病院なので、とても安心ですし、絶大な信頼を寄せています」

▽村野武範さん(72歳) 1945年、東京生まれ。1972年、27歳のときにドラマ「飛び出せ!青春」(日本テレビ系)で熱血教師役を演じ、人気俳優となる。1988年、43歳で「くいしん坊!万才」(フジテレビ系)を担当し、3年間出演した。現在、39年ぶりとなるCDシングル「ハマナス」(クラウン徳間ミュージック)が発売中。

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