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新規の放射線内用療法で末期前立腺がんの生存期間を延ばす

JCHO東京新宿メディカルセンター放射線治療内科の黒崎弘正部長(提供写真)

■国際共同試験では4カ月延命

 これまで骨転移の放射線内用療法では、がん種を問わずβ(ベータ)線の放射線を出す「ストロンチウム―89(メタストロン)」という薬品が使われていた。

 それが特に骨転移を起こしやすい前立腺がんの場合、α線の放射線を出す「塩化ラジウム―223(ゾーフィゴ)」という選択肢が増えたわけだ。

「ゾーフィゴの何が画期的かと言うと、痛みの緩和効果だけでなく、末期の前立腺がんの患者さんでは生存期間が延びることです。国際共同第Ⅲ相試験のデータでは、生存期間が約4カ月延び、死亡リスクが30%低下するとされています」

 同科がゾーフィゴの治療を始めてまだ1年3カ月ほどだが、実施数は24人で国内トップクラス。患者の経過をみると、半数弱は前立腺の腫瘍マーカーであるPSA値が下がり、骨転移のマーカーであるALP値はほとんどの患者が下がっているという。

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