がんと向き合い生きていく

多発性骨髄腫には治療をせずに経過観察で済むタイプがある

佐々木常夫氏(C)日刊ゲンダイ

 腫瘍化した形質細胞は骨を破壊して折れやすくし(溶骨病変)、骨髄では血がつくれなくなり(貧血)ます。さらにMタンパクが増えて、血液中で過粘稠度症候群、腎不全、高カルシウム血症などを起こす「症候性骨髄腫」(Yさんはこの病気でした)になると、全身化学療法による治療が必要です。また、感染にも弱くなります。

 一方、異常タンパクのみでタンパク量も少なく増加しない「無症候性骨髄腫」の場合(Cさんがこちらの種類でした)、多くは無治療で経過観察となるのです。

 発病の年齢にはばらつきがありますが、50~60代に多くみられます。タンパク電気泳動や免疫電気泳動によるMタンパクの有無、尿タンパク検査、骨髄検査、全身骨X線や全身CT検査による骨髄以外の病変の有無などで診断します。

 治療は、抗がん剤、副腎皮質ホルモン剤療法が長い間行われてきましたが、最近はサリドマイドや分子標的薬なども使われます。そうした薬剤治療でコントロールするのが主流ですが、65歳未満の患者さんは、完治させるために骨髄移植の対象にもなります。

 また、「症候性」の場合と「無症候性」の場合では病状や経過が大きく異なり、個人差もみられます。いずれにせよ、血液内科の専門医による診察が必要です。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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