医者も知らない医学の新常識

インフルエンザはなぜ女性に多く重症化しやすいのか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 インフルエンザが流行する季節になりました。本格的な流行は通常年末からですが、当クリニックでも11月に入ってB型インフルエンザの患者さんを診察しています。

 さて、インフルエンザは男性と女性どちらに多いでしょうか? 

 2009年に流行した「新型インフルエンザ」での統計によると、「大人では女性が多く、小さなお子さんと高齢者では男女差がない」という結果が国内外でほぼ一致しています。さらに重症化は明らかに女性に多く、治るまでの時間も女性で長くなりやすい、という結果も出ています。妊娠中にはより悪化しやすい、という報告もあります。

 それでは、なぜインフルエンザは大人では女性に多く、女性で重症化しやすいのでしょうか? まだ不明の点も多いのですが、最近の研究によると、女性では女性ホルモンが、インフルエンザから体を守るために重要な働きをしていて、ホルモンの分泌が不安定になると、インフルエンザのウイルスが増殖しやすいのではないか、という結果が報告されています。

 男性ではそうしたホルモンによる免疫の変化は見られないので、感染防御効果が安定しているのです。

 今シーズンは予防のためのワクチンも不足していますから、ワクチンは女性を優先するなど、女性を感染から守るために、世の男性陣はもっと気を使う必要があるのかも知れません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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