天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

高齢化で複雑になる緊急手術に備えて実践していること

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■患者にも病院にもプラスに

 そうした緊急手術も含めて、院長業務として翌日に持ち越せないことがあれば今も病院で寝泊まりしています。

 忙しい時期には、帰宅するのは週末くらいです。土曜日は他の病院で手術を行うことが多いので、休日は日曜日だけになります。でも、1日休めればそれで十分です。

 毎日、自宅に帰って家族と一緒に過ごすことは、子供が小さい頃はその成長を目の当たりにできることもあり、リフレッシュになるかもしれません。

 しかし、子供が成人すると、自分もそうだったように不要な干渉はお互いのストレスになってきます。さらに、車なら交通渋滞、電車であれば人にもまれながら通勤するのは非常に苦痛です。

 また、私は食べたいものを食べるようにしていて、当然、出るものも出ます。人間はそうした自然なサイクルが妨げられると、大きなストレスを感じます。たとえば、朝からずっと会議が続き、食事もできない、トイレにも行けないなんて状況が続けば、ものすごいストレスを受けることになるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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