気鋭の医師 注目の医療

乳がんの“遺伝子マーカー”で「手術不要」の可能性を判定

国立がん研究センター東病院/乳腺・腫瘍内科の向井博文医長(提供写真)

■目標は2021年の実用

 現在進めている臨床試験は、別の臓器に転移のないステージⅠ~Ⅲの乳がん患者200人を対象とし、約30病院で2年かけて実施する。薬物治療(分子標的薬など)を3~6カ月間、加えて放射線治療を1カ月間行う。そして、手術で摘出してがんが消失しているか、遺伝子の活性化を調べてマーカーとしての有効性を検証するのだ。

「マーカーになることは間違いないとみていますが、100%の精度かどうかはまだ分かりません。臨床試験はこれで終わりではなく、次は手術をやらないで経過観察する試験を行います。通常、乳がんの手術後は年1回、マンモグラフィー検査をしますが、もっと綿密にやる必要があるでしょう」

 この“遺伝子マーカー”によって手術が回避できる治療法が確立できれば、もちろん世界初の事例となる。向井医長は2021年の実用化を目指している。

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