医者も知らない医学の新常識

フィンランドでリスク4割減「サウナで長生き」は本当か

「サウナは健康に良いのか悪いのか」――。患者さんからよく聞かれます。

 無理をし過ぎない程度のサウナの習慣は、大量の汗をかいて代謝を活発にするので、自律神経を刺激して、心臓の働きに良い影響を与える可能性があります。心身のリラックス効果もあります。その一方で、体は一時的には急激な脱水状態になりますから、血圧が低下して、体に負担を掛けるという側面も否定はできません。

 海外でもサウナは盛んです。特に有名なのはサウナ発祥の地とされるフィンランドで、日常生活の中にサウナの習慣が溶け込んでいて、サウナについての研究もたくさん行われています。

 2015年の米国医師会雑誌に発表された論文によると、フィンランドでサウナを1週間に4回以上利用している人は、あまり利用しない人と比較して、4割も死亡するリスクが低くなっていました。これは糖尿病や心臓病など、病気の人も含まれたデータなので、サウナの健康への効果を、広く認識させる結果となったのです。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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