全国の医師が処方した薬 ベスト10

【糖尿病治療薬】上位100位で年間使用料は60億5000万錠

2015年度の糖尿病治療薬トップ10
2015年度の糖尿病治療薬トップ10(C)日刊ゲンダイ

 高血圧の次に患者が多いのが糖尿病です。継続的に医療機関にかかっているのは316万6000人(厚生労働省、2014年)。肥満などが原因で生じる2型糖尿病が大半を占めています。

 NDBオープンデータによれば、2015年度に外来で処方された糖尿病治療薬の上位100種類の合計は、60億6500万錠。単純計算で、患者1人当たり年間で平均1916錠(毎日5錠以上!)も飲んでいることになるのです。

 2型糖尿病といっても病態はさまざま。空腹時血糖値は正常範囲でも、食後に急激に血糖値が上がってしまうタイプには、ブドウ糖の吸収を緩やかにするクスリが処方されます。体内のインスリンの量は足りているのに、その働きが悪く、血糖値が正常に下がらないという人には、インスリンの働きを改善するクスリ(インスリン抵抗性改善薬)が使われます。

 また膵臓機能が衰えて、インスリンが十分に出なくなった患者さんには、インスリン分泌促進薬が選択されます。

 多くの患者さんは、これら3つの病態が組み合わさっており、しかもその割合によって症状が変わってきます。そのため、食事療法、運動療法と合わせて、必要に応じて複数のクスリの組み合わせが処方されるのです。
<表>は使用量の多かったクスリのトップ10をまとめたものです。1位はメトグルコ錠。インスリン抵抗性改善薬の一種です。8位も成分量のみを変えた同じクスリです。通常は1日2錠の処方。単純計算すると、2型糖尿病患者の6割近くがメトグルコを飲んでいることになります。

 2位のエクア錠と3位のジャヌビア錠はインスリン分泌促進薬。ただし、有効成分が異なっており、作用の仕組みも違っています。患者の体質に合わせて使い分けがされています。5~7位と9・10位も、インスリン分泌促進薬の仲間です。メトグルコと、インスリン分泌促進剤の組み合わせは、2型糖尿病の標準的な処方になっています。

 4位のセイブル錠は、ブドウ糖の吸収を抑えるクスリです。食物中の炭水化物は、腸内でブドウ糖に分解され、吸収されます。セイブルには炭水化物分解酵素を抑える働きがあるため、ブドウ糖の生成量が減り、結果的にブドウ糖の吸収が抑えられるという仕組みです。

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