クスリと正しく付き合う

難病SMAに初の治療薬「スピンラザ」は1本932万円

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 DNAは62億(31億セット)の「塩基」と呼ばれる分子が対をなして二重らせん構造で存在し、DNAをもとに作られた約2万3000の遺伝子によって、生命が維持されています。

 病気は遺伝子の量や質が変わることによって起こり、SMAは「SMN1」という1つの遺伝子の異常によって発症します。言い換えれば、SMAの原因遺伝子=SMN1遺伝子ということです。スピンラザは、原因遺伝子であるSMN1の機能を補う全く新しいタイプの薬なのです。

 ただ、難点といえるのが薬の価格です。「932万円/本」(米国では約1500万円/本)と超高額で、最初の1カ月(3回投与)にかかる薬剤費は約3000万円、負荷投与後は4カ月間隔で約1000万円をずっと使い続けなければなりません。保険適用によって患者の自己負担は大幅に抑えられますが、差額は国民が負担する医療保険料や税金から支払われます。もちろん、命はお金には代えられません。だからこそ、こうした超高額薬剤は適正に使用するべきで、しっかり議論する課題であるといえます。

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