アメリカでは強度の不安を訴える10代が急増し、社会問題になりつつあります。かつて、若者の心の問題は「うつ」に代表されていました。ところが過去10年間、それに取って代わったのが「不安神経症」です。
アメリカン・カレッジ・ヘルス・アソシエーションが昨年実施した調査によれば、大学生の実に6割以上が「強度の不安」を感じているといいます。この数字は2011年の5割から上昇しています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は1年生に対する調査を続けています。それによれば、「学生生活で、のまれそうな不安を感じた」と答えた学生は1985年には18%、2010年は29%、そして昨年は41%と激増しました。また、強度の不安を訴えて医者にかかったり、自殺する10代の数も過去10年間で2倍になったと伝えられています。
一体、何が起こっているのでしょうか。簡単に原因を特定することは難しいと専門家は言います。こうした症状への認知や診断の増加が、数字を押し上げている可能性もあるからです。
ただ、多くの専門家が原因のひとつとして指摘するのがSNSです。ベストの自分や日常の最高のシーンを投稿しようとするあまり、現実とのギャップに悩んだり、他人と比べて強い自己嫌悪に陥ってしまうというのです。
SNSは人間の快楽中枢を刺激するようにつくられているため、免疫のない若者では依存症や脳の発達への悪影響も指摘されています。さらにスマートフォン自体が、それを使うことですべてをコントロールできるような錯覚に陥るため、現実社会の難しさに向き合うことが難しくなってしまうのでは、という分析もあります。
では、どんな対策があるのでしょうか? 親はティーンを必要以上に子供扱いせず、問題に進んで直面させる。テクノロジーに触れる時間を減らす「デジタル・デトックス」なども有効とされています。
ニューヨークからお届けします。