独白 愉快な“病人”たち

日本人初の同時移植 ハギワラマサヒトを救った太田光と妻

腎臓は妻から移植してもらった(C)日刊ゲンダイ

「末期の肝硬変」と診断され、手の施しようがない状態でした。いちるの望みと思った臓器移殖も、医師に尋ねると「B型肝炎があると移殖をしてもすぐに肝硬変になってしまうので、米国でも移殖手術は受けられない」と言われました。もう絶望的でした。そんなとき、太田さんが「それがな、つい最近いい薬ができてB型肝炎でも移殖できるんだぞ」と言うんです。そして、冒頭のセリフが続きました。

■何日ももたないと感じ、太田さんに電話しました

 そこから渡米まで4カ月ぐらいかかりました。望みをつないでくれたのは、臓器移殖希望者を支援する民間団体「トリオ・ジャパン」。4月ごろ、太田さんと一緒に事務局を訪ね、事情を相談しました。

 程なく仲間が立ち上がってくれて、臓器移植にかかる莫大な金額5000万円を目標に、ボランティアの協力の下、募金活動が始まりました。とりあえず前金で3000万円を納めないと何も始まらないということで、6月に借金をして納めました。そして、受け入れ先が米国ダラスの病院に決まり、8月に渡米することになったんです。

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