医学部の定員が増えたのは、医師の数が足りないからです。地域偏在の問題もあって、地方は医師が少ないため一人一人の仕事が増えて忙しい。都市部は医師の数は多くても、先進的で高度な医療が次々に行われることで忙しい。結果的に地方も都市部も医者が足りないというのが現状なのです。
そうした状況の中に、明確な志望動機を持たずに漠然とした考えで医師になった若者が飛び込んでくると、多忙な“流れ”に巻き込まれてしまいます。わけがわからないまま自己管理ができずに流され、場合によっては過労死してしまったり、自ら命を絶ってしまう悲劇が起こってしまうのです。
プロスポーツの世界でも、まれに選手が突然死してしまうケースが起こります。
ただ、その多くは大相撲なら十両や幕下、プロ野球やプロサッカーなら控えの選手で、幕内力士やレギュラークラスの選手はほとんど見当たりません。プロのトップクラスの選手たちは、自分の体力や健康についてきちんと把握しながら練習や試合に臨んでいます。自分がその負荷に耐えられるかどうか、しっかり適性をチェックしながら取り組んでいるから、最悪の事態に至ることが少ないのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」