これで「物忘れ」は怖くない

親の認知症は遺伝する? 特定遺伝子持つと発症率が高く

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年齢とともに増える物忘れ。親の物忘れが増えたと思ったら、認知症だったという例も多い。そこで気になるのは、認知症は遺伝するかどうかだ。くどうちあき脳神経外科クリニック・工藤千秋院長に聞いた。

「認知症の遺伝性については、まだ完全に解明されていません。わかっているのは、『アポE4』という遺伝子を持っている人はアルツハイマーの発症率が高いということです」

 認知症にはアルツハイマー型、脳血管障害型、レビー小体型、前頭側頭型の4タイプがあるが、全体の6割を占めるのがアルツハイマー型だ。アルツハイマー型認知症は、原因不明でいまだ根本的な治療法が確立されていない。その発症率が、アポE4を持つ人は3~8倍高いというのだ。この遺伝子の有無は、検査キットなどで簡単に調べられる。

「ただ、アルツハイマーの治療法がない今、アポE4があると知ったところで、思い悩むだけになりかねません。うつ病になってしまう人もいるので、安易に調べるべきではないと思います」(工藤院長)

 肝心なのは、アポE4を持っているからといって、必ずアルツハイマーになるわけではないことだ。また、アルツハイマー病の家族がいるからといって、必ず遺伝するわけではないことも知っておきたい。

 現在、アルツハイマー病の治療には進行を抑制する薬が使われている。眞田クリニック・眞田祥一院長は、「あくまで経験上の感触」としてこう言う。

「アポE4を持つアルツハイマー予備群の人が、発症前からアルツハイマーの薬を飲み続けていると、発症しづらくなります」

 これが証明されれば、遺伝子検査をする意味がある。今後の研究に期待したい。

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