Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

ピカ子さんが判定された「前立腺がん確率50%」の意味

タレント・ピカ子さん(本人のブログから)

 治療にはメリットがありますが、手術には尿失禁や尿漏れ、放射線には直腸炎、ホルモン療法には筋力低下などがデメリット。たとえば、70代後半で悪性度の高い前立腺がんが見つかっても、平均寿命は81歳ですから期待余命はわずか。そういう状況だと、治療のメリットよりデメリットが上回るかもしれません。そう判断できれば、待機療法が選択されます。

 今回の男性は46歳。もし前立腺がんとすれば、若いケースです。若年性前立腺がんは、遺伝的にあるがんを受け継ぎやすい家族性腫瘍の可能性が。ほかのがんでもそうですが、家族性腫瘍は悪性度が高く、欧米では予防的前立腺全摘が行われることもあります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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