数字が語る医療の真実

ディオバン事件のその後 日本では論文捏造は罪にならず?

(C)日刊ゲンダイ

 その後、ディオバンの発売元であるノバルティス社とデータ捏造を行ったとされる元社員とが告訴され、訴訟となりましたが、2017年3月16日、東京地方裁判所は、元社員、ノバルティス社双方に無実を言い渡しました。元社員が意図的にデータの水増しや改ざんをしたと認定したものの、学術雑誌に掲載された論文に捏造があったとしても、薬事法で禁じられた誇大広告に当たるものではない、裁判所の判断もそのようなものだったのです。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

関連記事