全国の医師が処方した薬 ベスト10

【糖尿病治療薬】処方量トップは愛知県 三重県の2倍

トップの愛知県は三重県の2倍
トップの愛知県は三重県の2倍(C)日刊ゲンダイ

 患者1人当たりの処方量の都道府県格差を見てみましょう。NDBオープンデータには、都道府県別の処方量が載っています。そこで厚生労働省の患者調査をもとに、各都道府県の糖尿病の総患者数を計算し、その数字を使って患者1人当たりの処方量を算出します。<表>はその結果をまとめたものです。

 最も多く処方しているのは愛知県。患者1人当たり、平均で年間2600錠以上(1日7錠以上)を処方していることになります。次いで京都府、千葉県、北海道の順。全国平均が1916錠(1日5錠程度)ですから、1日当たり1~2錠多く飲んでいることになります。

 少ないほうのトップは三重県。年間1300錠に達しません。1日当たりに直せば3~4錠におさまっています。次いで和歌山県、広島県、鹿児島県となっています。

 多い県も少ない県も、これといった地域性や共通性はなさそうです。実際、最も多く処方している愛知県と、最も少ない三重県は同じ東海エリア、しかも隣同士です。それでいて処方量に2倍の差があるのです。

 愛知県は三重県よりも重症患者の割合が高い、というのは考えにくい話。処方量の違いは、主に医師の治療スタンスの違いを反映しているのかもしれません。三重県の医師は食事・生活習慣改善派、愛知県は薬剤コントロール派が大勢いるということでしょうか。

 とはいえ日本糖尿病学会が「治療ガイドライン」をつくって普及に努めているので、本来ならこれほど大きな違いは生じないはずです。がん治療に関しては、都道府県格差は大問題とされ、治療の「均てん化」が喫緊の課題とされています。しかし糖尿病のようなありふれた病気ですら、大きな差異が見られるのですから、がんに限らず医療の均てん化は難しいということでしょう。

 処方量が違えば、当然クスリ代も違ってきます。愛知県は患者1人当たり年間15万8000円分のクスリを使っています。他の県でも14万円前後を消費しています。一方、三重県では患者1人当たり8万1000円を使っているに過ぎません。他の県も8万円台から9万円台にとどまっています。仮に治療効果が同じなら、患者にとってはクスリも支払いも少ないほうがいいはずです。

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