がんと向き合い生きていく

甲状腺がんでの放射性ヨード内服治療は隔離して行われる

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 会社員のDさん(47歳・女性)は、5年前に前頚部のしこりを認めて甲状腺がんと診断され、A病院の耳鼻科で甲状腺全摘の手術を受けました。

 その後、症状はなく元気に過ごされていましたが、2年前に両肺に小さい転移が認められ、放射性ヨード内服治療を目的としてB病院の放射線科を紹介されました。Dさんは、ヨードを含む食品の摂取を避け、内服していた甲状腺ホルモンを中止してから入院となりました。

 治療で放射性ヨード内服をすると、しばらくは患者の体から放射線が出続けることになるため、病室は隔離されています。この病室に人は近づけず、必要な時には医療者が鉛の防護服を着て出入りします。ですから、入院中は外出、面会は一切できないことになっているのです。その厳重さに、Dさんは「監獄みたい」と話されました。

 Dさんが使った水や排泄物も一般とは違った処理がされるようになっていました。いったん部屋に持ち込んだものは、退院する時の放射線測定検査で規定値以上の場合は、すぐには持ち帰れません。そのため、入院時にDさんが持参できたものはごくわずかでした。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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