がんと向き合い生きていく

甲状腺がんでの放射性ヨード内服治療は隔離して行われる

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 そんなDさんにとって、室内に備え付けられたテレビが唯一の友で入院中は淡々と過ごされたようでした。6日後、体内の放射線量が基準値以下となって退院が決まり、退院後は経過が良く、元気に過ごされています。

 甲状腺は首の前側にチョウのような形で存在しますが、皮膚の上からは腫れない限り分かりません。甲状腺は血中にあるヨードを取り込んで、これを原料として甲状腺ホルモンを産生します。甲状腺ホルモンは体の代謝、維持にとても重要です。そのため甲状腺を全摘した場合は生涯、甲状腺ホルモン剤を飲み続ける必要があります。

■Ⅰ期・Ⅱ期なら手術でほとんどが完治

 甲状腺がんはどうしてできるのでしょうか? 多くは原因不明ですが、一部に遺伝性のものもあります。また、チェルノブイリ原発事故の後、その近郊では甲状腺がんにかかる人が増えたといわれ、甲状腺がんの発生と放射線被曝線量が関係しているのではないかと考えられています。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事