クスリと正しく付き合う

AIDSの発症を抑えるためには抗HIV薬を飲み続けなければならない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 薬の改良によって、最近はHIVに感染していてもAIDSを発症しない患者が増えており、HIV感染者で治療を行っている患者の平均余命は、感染していない人とほぼ同じとされています。

 治療経過が良好であることは非常に喜ばしいことですが、一方では薬剤費の問題も指摘されています。抗HIV薬の価格は年間約300万円です。仮に20歳で感染して75歳まで55年間飲み続けると、トータルで1億5000万円以上が1人の治療にかかる計算になります。

 日本では1000人以上のHIV感染者がいて、現在も特に若年者で増えています。命とお金は換えられませんから、必要な薬は適正に使うべきなのは間違いありません。

 しかし一方で、医療費を圧迫していることもまた事実なのです。ワクチン開発など、感染予防や根治薬の開発が強く望まれているところです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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