第3世代の視力矯正手術「リレックス」の実力とデメリット

メガネよ、さらば…か?
メガネよ、さらば…か?(C)日刊ゲンダイ

 第3世代の視力矯正手術といわれる「リレックス・スマイル(以下、リレックス)」をご存じか? 屈折矯正手術は、レーザーを直接角膜に照射するPRKから始まった。その次に登場したのが「第2世代」のレーシックで、それに次ぐのがリレックスだ。米国では日本の厚労省にあたるFDAの認可を受けており、世界62カ国以上(2017年時点)で実施されているという。

 リレックスの基本原理は、PRKやレーシックと同じだ。レーザー照射で角膜の屈折力を調整し、視力を矯正する。その違いは、その屈折力の変え方にある。治療時間は、どちらも両目で10分ほどだ。

 2年前からリレックスを行う南青山アイクリニック・戸田郁子院長は、新治療法のメリットとして「フラップを作らない」「傷口が小さい」を挙げる。

 レーシックは角膜の表面に円形状の蓋のようなもの(フラップ)を作り、その蓋をめくり開けるようにして角膜内部にレーザーを当てて角膜を切除し、屈折力を変える。蓋を閉じれば、自然に角膜とくっつく。

 リレックスは蓋を作らない。その点ではPRKと同じだが、角膜表面に強いダメージを与えない。特殊なレーザーで角膜内に薄い切片を作り、その後、角膜を小さく切開して切片を取り出す。レーシックと同様、切開した部分は自然に角膜とくっつく。

「『フラップ』を作るとどうしても衝撃に弱くなります。だからレーシックは、格闘技など目に何かがぶつかる可能性がある人には向いていない。リレックスはその弱点をクリアしています」

 レーシックでは円形状の蓋を作るため、20ミリほど切開することになる。リレックスは切片を取り出すためだけの切開なので、2~4ミリ。10分の1の小ささだ。

「切開部分が小さいため、神経線維を切断する量が少なく、リレックスではドライアイはほぼ起こりません。一方、レーシックでは大抵の方にドライアイが起こります。時間が経てば改善しますが、もともとドライアイがある人では3~6カ月、症状が続く場合もあります」

■保険適用はなし

 デメリットもある。まず、視力回復に時間がかかる。レーシックでは術後数時間で1.0程度まで視力が回復するが、リレックスは1週間ほどかけてゆっくりと視力が回復。次に、再手術が可能なレーシックに対し、リレックスは「2度目」はできない。PRKやレーシックなど別の方法で再手術となる。

「レーシックより後に登場したリレックスは、当然歴史も浅い。適切に行えば安全な手術ではありますが、長期的に見た場合、『100%問題がない』とは言い切れない部分もあります」

 実際、米国では「長期結果については臨床結果待ち」とする声もある。

 戸田院長は、「すべての手術に言えることですが」と前置きした上で、レーシックにしろリレックスにしろ、しっかりと説明を受け、メリット、デメリットを理解してから納得のいく治療を選択すべきだと強調する。

 どういう見え方がいいかは、ライフスタイルなどで異なる。見え方が変化することに、うまく対応できない人もいる。

 また、レーシック、リレックスともに何歳でも受けられるが、老眼によるピントの調節力に効く治療ではないので、老眼年齢の40代以降では遠くも近くも見えるようになるわけではない。「眼鏡が不要になる」と期待していると、術後、「そうじゃなかった」と不満が生じかねない。

 なお、レーシック、リレックスともに保険の適用はない。南青山アイクリニックではどちらも同じ値段設定だが、一般的にはリレックスの方が高額だ。

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