これからを担う若手の心臓外科医を育てるため、近年はできるだけ若手にチャンスを与えるように意識しています。
「自分にしかできない」という手術はもちろん私が執刀します。しかし、自分が執刀しなくても患者さんの予後(その後の生活レベルや健康寿命など)に変わりはないと判断できる場合は、患者さんと十分に話し合ったうえで若手に執刀を任せる機会が増えています。私も手術に立ち会って、若手が手術中の“チェックポイント”をクリアできない時には、そこから自分が代わって執刀し、しっかり手術を見せるケースもあります。物足りなさを感じることも少なく、皆よくやっていると思います。
先日、北海道であった講演でもお話ししたのですが、若手には、「限られた時間」というものがすごく大事なんだということを言い聞かせています。
外科医が手術を行ううえで大切なのは、「同じ治療をするなら素早く行う」ことです。次の患者さんが待っているわけですから、所要時間が短ければそれだけ多くの患者さんの治療に臨めます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」