Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

30代女性は男性の2.6倍も 若年成人がんの治療法と予防法

小林麻央さんは34歳で乳がんで亡くなった(C)日刊ゲンダイ

 見逃せないのが、甲状腺がんです。患者は、若年者から年齢が上がるにつれて増え、男女別では女性に多いのが特徴。高齢女性には、ほぼ全員に見られる一方、女子高生でも決して珍しくありません。

 そんなデータに触れると、女性にとって厄介ながんと思われるかもしれませんが、甲状腺がんには生涯にわたって生命にまったく影響を及ぼさない「潜在がん」があるのも事実です。男性の前立腺がんも治療せず経過観察で済むタイプがあるのと似ています。

 甲状腺がん検診が行われている韓国では、そういう潜在がんの掘り起こしが進んだため、治療の必要がないのに切除などを行う過剰治療が問題になりました。全摘すると、甲状腺から分泌されるホルモンがストップするため、生涯、ホルモン剤の服用が欠かせません。過剰治療の代償は、とても大きいのです。

 ですから、甲状腺がんについては、小さなものはたとえ見つかっても慌てて治療を受けてはいけません。では、ほかのがんはどうするか。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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