筋肉量低下を回避するには、一日でも早く体を動かさなければなりません。具体的には「体をベッドから起こす」「トイレで用を足す」などで、これらも立派なリハビリになります。
一方で、栄養状態が悪い場合、やってはいけないリハビリがあります。筋肉量を増やす筋トレがその代表です。
先日、ある患者さんが紹介されてきました。慢性呼吸不全で入院されていたその方は、身長145センチ、体重19キロ。上腕回りは12センチ。食事をうまくのみ込めず、点滴を受けていたのですが、1日の摂取エネルギー量が100キロカロリーで、あまりにも少なすぎでした。私は「歩行などのリハビリの前に栄養状態を良くすることが絶対不可欠」と判断し、主治医に伝えました。
結局、その患者さんは転院されたので、その後どうなったかわかりません。栄養管理をきちんとされていることを切に願っていますが、栄養管理に熱心でない医師がいまだ少なくないことも事実です。
年をとったら「太る」を目指す